VAMPS
日本ロック界の異才 HYDE & K.A.Z
2008年、ラルク・アン・シエルのボーカル、HYDEとオブリヴィオン・ダストのギタリスト、K.A.Zがヴァンプスを結成。わずか1年後に日本人バンドとしては異例の早さで海外ツアーを成功させ、しかも戦艦ミズーリ号でのライブまでも実現した。2009年から2014年までの間にリリースされた4 枚のアルバムは全てオリコン・チャートのトップ10入りを果たしている。2015年はフィンランドのメタルバンド、アポカリプティカとモトリー・クルーのニッキー・シックス率いるロサンゼルスを拠点に活動するハードロック・バンド、シックス:エイ・エムの北米ツアー12公演でサポートを務めた。ロサンゼルスで東京ジャーナルのエグゼクティブ・ エディター アントニー・アルジェイミーがHYDEとK.A.Z に話を聞いた。
TJ: 今回のシックス:エイ・エムとアポカリプティカとのツアーのきっかけは?
HYDE: 多分もともとアポカリプティカとシックス:エイ・エムは決まってて、もうひとバンド入れる余裕があったんだと思う。
TJ: ツアーはいかがでしたか?
K.A.Z: 僕たちはまだ海外に出たばかりなので、 演奏時間や設備に制限があったりするけど、大事なのはお客さんにヴァンプスというバンドをしっかり見てもらうことだと思ってます。
HYDE: 日本だと僕たちのことみんなよく知ってるから、新しいものをやろうとするんだけど、海外だとまだ始まったばっかりだからスタンダードなヴァンプスをちゃんと見せたいなという思いがあるので、なるべく効果的なスタンダードなライブをしてます。日本ではやっぱりちやほやされてますから、ああいうオープニング・アクトをやったことがなくて、ファンが誰もいないところでやるっていうことがどれだけ自分たちの悪い点が浮き彫りになるかとか分かったんで、すごく成長した。だから、すごくやってよかったと思う。やってる時は心が折れそうになる時もあるけど。全然反応がないとか、よくわからない時とか。そういう時は自分のやってる音楽を信じる。「絶対僕らの音楽はかっこいい」って言い聞かせて、格好つけるしかなかった。
TJ: ツアー中、最大のパフォーマンスは?
HYDE: やっぱりフェスかなぁ。フェスはリハーサルも何もないし、突然イヤモニを使うのは駄目って言われたりとか。で、ステージにポ ンって上げられて。その前のバンドはすっごい盛り上がってて、僕ら多分ファン10 人くらいしかいなくて。最初の 2 つと、まぁどこもそんな感じなんだけど、すごい気合いが入るっていうか、怖いじゃない。僕たちは盛り上がらないだろうから。でも、だんだん盛り上がって くるじゃない。それがすごい感動的で。最後のロック・オン・ザ・レンジではモッシュピットができたのね。少しずつ、やっぱファンに伝わるようになってきて、それがすごい僕の中では感動だった。これをもっと続けていけばもっと良くなるんじゃないかなって思いが生まれた瞬間でもあった。
TJ: 日本のバンドが海外進出にあたって抱えている最大の課題は何でしょうか?
HYDE: やっぱり英語が大きいかなと思う。
K.A.Z: 本当に海外に出て行きたいなら、努力が必要。日本でバンドを始めた時みたいに、またゼロから始める感じで、大変。覚悟もいる。 でも、海外の人に自分たちの音楽を聴いてもらえるのはすごくうれしい。
TJ: バンドとして海外でも認められたいですか?
HYDE: 一番の目標はアメリカ。でもそのため に世界でもやります。フロリダでやった時は、 国境が近いから中南米の人がたくさんきてく れました。反応もパワフルで、すごく良かった。
TJ: ライブの前は緊張しますか?
HYDE:アメリカほどじゃない(日本では)。 慣れない環境が苦手かも。
K.A.Z:しばらくライブをしていないと、ステー ジ上でちょっとやり過ぎちゃったりしますね。
TJ: VAMPS はどんなバンドですか?
HYDE: すごく激しいロックもありながら、やっぱり僕らのバックグラウンドでブリティッシュ・ニューウェーブとハードロックが ミックスされてるサウンドで、クールなだけでは終わらない、少し変わったところあるかなぁ。
TJ: HYDE さんの一番の才能は何だと思います か?
K.A.Z: カリスマ性があって、自然に人を引きつけることができます。あと、ステージの上ではヴァンパイアになります。
TJ: ご自身のイメージは?
HYDE: なんだろうね、ちょっとホラー好きなロックミュージシャンじゃないですか(笑)。
TJ: 海外のファンにどういう風に見られたいですか?
HYDE: 日本人だから、やっぱり本場のロックとは違う風に見られるじゃない。僕はいかに本物に近づくかってことを意識してるから、偽物っぽく見られるのはいやだ。
TJ: ステージの上と個人としての自分で一番の違いは?
HYDE: 昼と夜みたいな感じ。
K.A.Z: 違いは多分あると思います。ステージ の上ではアドレナリンが出てます(笑)。
TJ: ライブ前にお会いした時とステージでの姿が全く違ったのでびっくりしました。良い意味で何かが乗り移っているかに見えました。
HYDE: ドラッグはやりません(笑)。
TJ: ステージ上でのエネルギーはどこから?
HYDE: ステージの上は自由な空間で、自分の全てを心置きなく表現できる唯一の場所です。
TJ: お二人はラルク・アン・シエルやオブリヴィ オン・ダストといった他のバンドでも活動しておられますが、ヴァンプスとして演奏するのはどう違いますか?
HYDE: ラルク・アン・シエルはすごくこだわりがないバンドで、どんな音楽でもやるバンドなんだけど、ヴァンプスはロックにこだわりがあって、ロックをメインにして子供のころに憧れたロックバンドをまた作ってるって感じですかね。
K.A.Z: オブリヴィオン・ダストは全部英語詞なんですけど、またやっぱりメンバーが違うこ とによって、作る音楽だったりとか、テイストが変わっていって、だから化学反応を楽しんでますね。
TJ: 音楽面では誰に影響を受けましたか?
HYDE: 大まかには80年代のアメリカン・ハードロックとブリティッシュ・ニューウェーブな んだけど、モトリー・クルーとか、ラット、ドッケン、メタリカ、スレイヤーとかいろいろ。
K.A.Z: キリング・ジョーク、デペッシュ・モー ド、リンキン・パーク...。
TJ: なぜ英語で歌い始めたのですか?
HYDE: もともとそういうアーティストが大好きだから、自分も英語で歌いたいっていうのが自分的にありますね。
TJ: 英語がお上手ですね。
HYDE: ありがとうございます。英語の本を読んだりして、勉強しています。
TJ: 英語を学ぶことは重要なことでしょうか。
HYDE: そうだね、重要だね。重要だけど僕全然勉強してこなかったから、今頑張ってる。
TJ: 今はロサンゼルスを拠点にしておられるのでしょうか?
HYDE: そう...かな?半分半分。
TJ: 小さなクラブと大きなコンサートホールではどちらで演奏する方がお好きですか?
HYDE: どっちも楽しいですけど、こっちであんまり大きいところでやったことないから、大きいところでやる方が新鮮ですね。
TJ: ラルク・アン・シエルでは日本人バンドと して史上初のマディソン・スクエア・ガーデンでの単独ライブをされましたが、ヴァンプスとしてもやりたいですか?
HYDE: やりたいねぇ(笑)。
TJ: ハワイの戦艦ミズーリ号上でのライブはいかがでしたか?
HYDE: あれはすごかったよね。
K.A.Z: 景色からして映画みたいだった。
TJ: 戦艦ミズーリ号上でのライブのきっかけは?
HYDE: なんかミズーリがこの後修復作業に入るっていうんで、最後にパーティーをしたいと、ライブをしたいという話があって、僕たちとすごくタイミングが合って実現しました。日本とアメリカの友好という意味もあります。
TJ: コラボレーションしたい海外のバンドは?
K.A.Z: 昔聴いてた、さっき言った好きなバンドと一緒にやってみたいですね。生きてれば、彼らと(笑)。
HYDE: じゃあカート・コバーンとか。もう亡 くなったけど。
TJ: HYDE さんはアニメの声優の経験もおありですが、またやりたいですか?
HYDE: いやーそうだな、あんまりやりたいと思わないけど、でもすごく面白かったんで、 まぁ何かチャンスがあれば。
TJ: アニメはお好きですか?
HYDE: アニメは普段見ないんだけど、エヴァ ンゲリオンだけは見ます。
TJ: 現在バンドとして進行中のプロジェクトは?
HYDE: 今年はアルバムがアジアとヨーロッパ とアメリカでリリースされたんで、それ引っ提げてのツアーをやったこと今までなかったんで、今回やりたいなと思っています。
K.A.Z: 8月に幕張で大きなコンサートをやり ます。11月はオズフェス・ジャパンとアポカ リプティカとのUK ツアーがあります。
TJ: 新人ミュージシャンに向けて何かアドバイ スを。
K.A.Z: 自分も夢で始めたことを持ち続けたこ とによって今こうやってこういう場で色々イ ンタビューしてもらえたりとかしてるから、 やっぱりこう新しく始めた子たちも、夢っていうのはやっぱり持ってないとかなわないし、そ れを諦めたらそれはもう夢ではなくなるし、なくなるっていうか実現しないことになってしまうから、夢を持ち続けてください。
HYDE: すごく楽しい、ロックスターは。女の子にモテるし、お金も入るし、お酒も飲めるし(笑)。で、一番面白いのが、僕男の人って働いてるとことが一番かっこいいと思うんですよ、どんな職業でも。でも、普通の職業だと見せられない。でもロックは働いてるところを見せるのが商売だから、どうしてもかっこいいところを見せるじゃない。そういうところがすごくいいと思う。tj
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